アルミコンロッドについて

アルミコンロッドについて

コネクティングロッド(Connecting Rod)は、コンロッド、連接棒、レンセツカン、連結棒、ピストン棒、ピストンロッド、連桿、連棒などと呼ばれています。私達はその中でも、アルミ合金製のコンロッドにこだわり続けています。
日本ワヰコのアルミコンロッドは、アルミ合金の特長を生かし、汎用エンジン/小型エンジン(ガソリン/ディーゼル)、船舶用エンジン(マリンエンジン)、カート用エンジン、ラジコン用エンジン、空調冷凍用コンプレッサー(レシプロコンプレッサー)、空圧コンプレッサー、プランジャーポンプ、ガスヒートポンプ(GHP)等に採用され、小型化、軽量化、低振動、低騒音などに貢献しています

アルミコンロッドについて

用途

汎用/小型エンジン

環境問題の高まりから、汎用/小型エンジンも4サイクルエンジン化が進んでいます。ほとんどがダイカスト材を用い、合せ面はインロー方式を採用されています。以前は普通ダイカストに熱処理をするのが主流でしたが、最近では、ADC12-F材(熱処理なし)やハイシリコン材を採用されるケースも増えてきました。また、特殊鍛造材の採用により小型ディーゼルエンジンでの使用も可能となりました。マリンエンジンについては人命に直接的に関わる背景から要求される品質・強度が高いため、ハイシリコン材(ADC14)、焼結鍛造材が採用されています。
コンロッドをアルミ化することで鉄製のものに比べて、摺動性が向上するため、クランクやピストンピンへの直受が可能になり、大端側のメタル(半割りメタル)、小端孔に圧入するブッシュ(ピンブッシュ又はニードルベアリング)が不要になります。さらに摺動性または初期馴染みの向上をご要望の場合には、内径面の鏡面加工などを行い、面粗度を向上させることも可能です。

汎用/小型エンジン

冷凍空調用コンプレッサー

レシプロコンプレッサーの最大の特徴であるメンテナンス性、安定性が再評価され、今日でも新機種の引き合いを頂いております。密閉型コンプレッサー用のストラップ(メガネ)タイプ、半密閉タイプ用の割りコン(キャップとロッドをコンロッドボルトで締付けるタイプ)の両方合せて、300機種以上の実績があります。
大小端孔間距離が45㎜カーエアコン向けから、300㎜の大型設備向けまで、幅広く対応可能です。また、補用品(サービスパーツ)用の特殊仕様として大端内径が、正規寸法より25~75μm程度小さいアンダーサイズにも対応できます。

冷凍空調用コンプレッサー

エアーコンプレッサー

ガソリンスタンドや釘打ち機用など手軽な設備として重宝されています。割りコンタイプの場合、大小端の孔間距離が200㎜前後のものが、ストラップタイプの場合、90㎜前後がそれぞれ主流です。中には、大端内径が120㎜、大小端孔間距離が240㎜のストラップ(メガネ)タイプもあります。

エアーコンプレッサー

プランジャーポンプ

比較的大型のものについては鍛造材が採用される事が多いですが小型についてはダイカスト材を採用されております。アルミ材以外にも、亜鉛や砲金といった非鉄金属のコンロッドを要求される事もあり、コンロッド専門メーカーとして対応させて戴いております。

プランジャーポンプ

素材材質

コンロッドは、エンジンやコンプレッサーの心臓部品のひとつで、重要保安部品です。加工精度はもちろんのこと、元になる素材の品質も重要です。
素材調達は、日本の信頼できる素材メーカーに協力頂いております。安定した品質、小ロットへの対応、提案力、実績など日本企業でしか実現できないものがあります。
素材材質は、引張り強さ、耐圧性、耐摩耗性、靭性、軸受け性などが選択の条件となります。また、その素材が重力鋳造やダイカストなどの鋳造材であるならば、
鋳造性がいいことを条件として追加する必要があります。鋳造性を考慮する事により、巣の発生を低減する事が可能となります。
コンロッドは重要保安部品であるがゆえに、大小端内径面などの巣に関しては、厳しい要求があります。私達のコンロッド作りの挑戦は、
巣(Porosity)との戦いでもあります。

アルミ合金鍛造(熱間鍛造)

コンロッドがアルミ化された当初の素材です。強度、伸びなどに優れた信頼できる素材ですが、その分、鋳物、ダイカストに比べると、素材、加工コストも高くなります。コンロッドにはA2017FD、A2014FDが適しています。その他、高温でも強度に優れた材質もあり、ディーゼルエンジンにも採用されています。

アルミ合金鍛造(熱間鍛造)

アルミ合金鋳物(重力鋳造/グラビティ)

一般的な材質であるAC2B、AC4A、AC4B、AC4C、AC4Dなどが多く採用されています。鍛造材に比べると強度的には劣りますが、金型費用は、ダイカストに比べ安価ですので、鍛造材ほどの強度が必要なく、ダイカストの金型を作るまでもない場合にお勧めです。
一般的な材質以外にもコンロッドの特性にマッチした、特殊材のスミカロイT31、H14、E11などの実績もあります。

アルミ合金鋳物(重力鋳造/グラビティ)

アルミ合金ダイカスト

現在の生産本数の約7割がダイカスト素材です。鍛造、鋳物に比べると、鋳造、加工のコストパフォーマンスに優れた量産効果がある鋳造方法です。材質は、ADC12が一般的ですが、耐磨耗性と切削性を両立したハイシリコン材、アルミ鍛造材に匹敵する強度を持つ特殊材も好評を頂いています。
普通ダイカストのほかにも、スクィズダイカスト、PFダイカストの製法があり、熱処理をすることで、強度アップが可能になり、使用用途が広がります。
ダイカスト材の採用当初は、キャップとロッド(本体)が一体の素材(1ピース材と呼んでいます)でした。最近はキャップとロッドを分ける2ピース材の採用が多くなっています。2ピース材にすることで、金型代が高くなりますが、キャップ側のボルト孔や座面など加工箇所を減らしたり、合せ面の取代を少なくするなど、製品単価面での効果があられます。

アルミ合金ダイカスト

アルミ合金ダイカスト